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陰呉 薔葉(イングレ シキハ)

「神子はそれこそ神のように扱われ、忌子は人間以下の扱いを受けた。要するに除け者になったのさ。 そして、そのしきたりには続きがある。 神子と忌子、この二人の人間が成人した時、忌子を殺して神子にその肉を食べさせるのさ。 そうする事で、神の子の神子が忌の子の忌子に詰まった隠の気を浄化すると考えられていたんだ。」

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神子と忌子
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  • 陰呉 薔葉(イングレ シキハ)
    陰呉 薔葉(イングレ シキハ)

    「『にいちゃんが死ぬなんて嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ』
    純粋な否定の感情が黎二を埋め尽くしていく。
    村人たちに縛られ絶望以外の何物でもない人生を送ってきた黎二には、鹿苑だけが心の拠り所だった。
    嫌だ嫌だ嫌だ、そう叫ぶ黎二はいつしか、声が出せなくなっていた。
    声が出ない。口を開けば、嫌だ嫌だと絶望の叫びが心も体も埋め尽くす。

    儀式は廃止された。
    鹿苑と黎二という双子は鬼となり、あたりの村を襲っては食い潰した。

    そんな時、ある奴が鹿苑と黎二を拾った。
    二人は食い殺そうとそいつに襲いかかったが、軽々と攻撃をかわされた上抱きしめられた。
    暖かいぬくもりだった。」

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