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陰呉 薔葉(イングレ シキハ)

「成人の儀式の日、つまり殺される日。 鹿苑はただ、この日を待ち望んでいた。 黎二が悲しむ顔は見たくなかった、それ以上に弟を思う愛情が、いつしか黒く歪んだ愛情へと変わっていたんだ。 『殺されれば、黎二が悲しむ顔は見なくて済む。黎二はずっと、神子として崇められ続けて、辛くない』 そう思って、爽やかな顔で儀式の場へと上がった。」

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神子と忌子
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  • 陰呉 薔葉(イングレ シキハ)
    陰呉 薔葉(イングレ シキハ)

    「『にいちゃんが死ぬなんて嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ』
    純粋な否定の感情が黎二を埋め尽くしていく。
    村人たちに縛られ絶望以外の何物でもない人生を送ってきた黎二には、鹿苑だけが心の拠り所だった。
    嫌だ嫌だ嫌だ、そう叫ぶ黎二はいつしか、声が出せなくなっていた。
    声が出ない。口を開けば、嫌だ嫌だと絶望の叫びが心も体も埋め尽くす。

    儀式は廃止された。
    鹿苑と黎二という双子は鬼となり、あたりの村を襲っては食い潰した。

    そんな時、ある奴が鹿苑と黎二を拾った。
    二人は食い殺そうとそいつに襲いかかったが、軽々と攻撃をかわされた上抱きしめられた。
    暖かいぬくもりだった。」

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