見城徹見城徹2018年05月11日 16:24映画[孤狼の血] 久々に胸が締め付けられるヤクザ映画を観た。主演の役所広司はヤクザ顔負けの刑事だから警察映画と言っても許されるかも知れない。鮮烈なヤクザ映画の都合の良さや雑さは一つもない。丹念に描かれていて、尚且つ鮮烈なのだ。僕の大好きな深作欣二監督[仁義ない戦い]のオマージュのようにも取れるし、ドキュメンタリー・タッチの方法論も似ているが、人間描写やストーリー展開が丹念なのでヤクザ映画には珍しく納得して観ることが出来る。役所広司は勿論、舌を巻くほど上手く「孤狼の血」の刑事を演じているし、登場するヤクザも刑事も役者たちの鬼気迫る演技に圧倒される。特筆すべきは松坂桃李、江口洋介、真木よう子の3人。この物語は広島大学出の刑事役・松坂桃李のビルドゥグス・ロマンとしても秀逸なのだ。僕は松坂桃李のシーンに何度も心を揺さぶられた。ヤクザの組の若頭を演じる江口洋介はこの映画で初めてハマリ役を得た気がする。江口洋介の役者の道はこっちにあったのだ。真木よう子は暗い鉄火肌の女を演じさせると抜群に生気を帯びる。これだけの原作をこれだけの映画にした白石和彌監督にも脱帽。白石和彌にはハズレがない。今は忙しくてこれだけしか書けないがいずれまた書きます。明日から東映系で公開。1