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見城徹

イルカの[なごり雪]を聴いている。 この歌詞のような青春が僕にも確かにあった。まだ親の脛を齧りながら、当て所のないセンチメントを生きていたあの日。彼女との日々だけが自分を支えていた。別れの日の予感に怯えながら抱き合っていた2人。人はいつまでも純情のままではいられない。薄汚れた[人生という戦場]に一歩を踏み出さなければならない。 佐々部清監督[チルソクの夏]。毎年交互に開催される釜山と下関の高校親善陸上試合で始まった釜山の高跳び男子選手と下関の高跳び女子選手の恋。親善陸上競技は中断され、2人の恋は終わる。時を経て23年振りに下関を会場に再開された親善陸上競技大会。男は韓国で実業家として成功し、女は離婚を経てささやかに生きている。男は親善陸上競技大会の復活に金銭を提供し、女はスタッフとして参加する。高校時代の想い人からスタッフを介して女に手渡された一片の紙片。そこには再開場所が書かれていた。観客席の上の方にあるその場所に向かって歩く女。男は居た。円柱に持たれて待っていた。2人が23年振りに再会する直前でストップ・モーション。イルカの[なごり雪]がかかる。そして映画は終わる。 こんなに感動的にイルカの[なごり雪]がかかったシーンを僕は知らない。号泣した。

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見城徹のトーク
トーク情報
  • 見城徹
    三上雅博三上雅博

    人が決めたルールで生きられない。
    枠からはみ出してしまう。
    型に嵌れたら普通に生きていけるのに。

    僕は自分を殺す事が出来なかったから。
    夢見る人々と決別する。
    僕は夢を見れないから。
    僕の存在はこの世界の秩序を乱すバグだから。
    この場所が安全なんて言うのは嘘だから。
    後ろから迫る黒い影がみんなにはまるで見えていないのだから。
    僕がそれを口に出すとこの世界は凍りつく。
    僕の言葉は耳障りなノイズでしかない。
    だから僕はひとり出ていく。
    絶望し切って死ぬ為に。
    儚くとも。儚くとも。
    さよならだけが人生だ。